ポートサイドの歩み「アート縁日1」

COLUMN

ヨコハマポートサイドの歩み「アート縁日」

街が本格始動をはじめた1994年以降、様々なイベントが開催され街を盛り上げてきました。ポートサイドエリアの歩みのひとつとして、1994年からコロナ禍により開催中止される2019年まで28回も開催されたアートイベント「アート縁日」をご紹介します。

「アート縁日」はどうやってはじまったのか

現在多く開催されているアートイベントですが、「アート縁日」開催当初はほとんど知られていない珍しいイベントでした。そのため出展を希望されるみなさんからのお問い合わせも、そのほとんどが「いったいどういうイベントなのか」ということでした。

当時、現在以上に「作品は鑑賞させてもらうもの」で、美術館やギャラリーはまだまだ敷居が高い場所でした。音楽では既にアマチュアのバンド活動も盛んになっていましたが、アートやデザインは日常的な市民生活からは遠いところにありました。アート縁日という名称は「アートと縁結びができる日」あるいは「アートで縁結びができる日」という意味合いから名付けられたものです。アート縁日は、そうしたつくり手と受け手の「距離」を近づけることはできないかということから企画されたイベントでした。

「第1回の開催は、将来道路になる空き地で」

このページ上部にあるモノクロの写真は第1回アート縁日の会場を写したものです。背景、左手から中央に見えているのはロア弐番館の建物。ここは現在、栄・本町線という道路になっている場所です。当時はまだ道路としての利用は始まっておらず、「将来道路になる空き地」のような状態になっていました。その空き地を特別に借用してアート縁日が始まったというわけです。

第1回の開催に参加してくださったのは100名ほどの出展者の方で、数名の専門家の方に出展者の推薦を依頼。しかし、なかなか盛況という状況にはなりませんでした。初期の開催では出展される方にも、来場者のみなさんにもどことなくぎこちなさがあったように記憶しています。一方、主催者側も、このイベントの楽しみ方を上手く伝えられずにいました。

しかし、3回、4回と開催を続けていくうちに少しずつ状況が変化し始めました。出展者の方や来場者の方が、それぞれにこのイベントの楽しみ方を見つけてくださったのでしょう。そして、この頃から、アート縁日は企画段階では予想されていなかった方向に成長していくことになります。

※本事業は終了しており、本記事は開催当時の内容です。